舞妓さんの遠足

都をどりや温習会が終わってからの楽しみにひとつが遠出です。舞台の2,3か月前からお稽古で時間的にも気持ち的にもなかなか余裕がなく、どうしても気分の晴れない日々がつづいてしまいます。でも舞台が終わればごほうびが待っている!と思えば、どうにかがんばれるもの。15,6歳からのお客様の中には、親元を離れた舞妓さんたちにとって父のような存在なってくださる方も多く、そんな私たちを暖かく応援してくれたり、はげましたりしてくださいました。


「をどりが終わったら、今度できた大坂の高いビルに連れっててあげるから、がんばりや」と励みになる楽しい提案をしてくださって、お座敷にいる芸舞妓さんの日にちを合せて遠足の日取りを決めるのです。中学をでてすぐに祇園にきた私たちにとって、京都にないきらびやかは夜景も新世界の串カツも珍しくって芸妓さんも舞妓さんもおおはしゃぎ。京都を離れて、羽根がのばして・・・帰るころに「次は温習会やなぁ、舞台楽しみにしてるで。ほな次は鶴橋にみんなでいこな」「やったぁ~!」・・・他愛のないものです(笑)。花街・・・と聞くと艶めかしいイメージがあるかもしれませんが、私の中ではちょっと違っていておっきな家族のようなところでした。その中で密かに「お父さんズ」と慕っていたお客様方は、実際実の父より話す機会も多く、十五歳からの私の成長を見守ってくれていました。

お稽古の悩みも、人間関係も、その他もろもろご相談したり、またされたり。特に私は色気のあるタイプではなかったせいもあるのでしょうが・・・(苦笑)。今でも、お父さんズは、たまにこのブログを見てくださっていて、気にかけてくださっているとお茶屋さんのお母さんから教えてもらいます。そのたびに、心の奥がぽっと暖かくなって、心配かけないようにがんばろう、と思えるのです。もちろん、お母さんズ、お姉さんズはもっといらっしゃいますが、その話はまたの機会に。