別染の浴衣~伊勢型紙のおはなし~

別誂え より紐トンボの浴衣

嬉しいことに、先月おもいがけなく、嬉しいご注文をいただきました。祇園町からの別染の浴衣のご注文。お客様のイニシャルを入れてのデザインで、色は三色。男物、大人の女性、若手の女性で色を変えようということに・・・夏のお座敷でお召しになる浴衣です。お世話方の芸妓さんといろいろと知恵を絞り、考えていく工程はとてもドキドキするものでした。でも実は、最初ちょっと物怖じしていました。納期の問題の上に、浴衣はまったく経験がなく、嬉しい反面できるのか、せっかくお声がけしてくださった芸妓さんに迷惑かけないか・・・・駆け出しの呉服店に荷が重くないか。どうしよう?! でも、紗代子にとお話をふってくれた芸妓さんに応えたい!!!


この浴衣を作るにあたって、若手の伊勢型紙の職人さんに出会いました。おじいさんが職人さんで彼は二年前から型紙の世界に入ったそうです。今回、彼がデザイン修正、親方への彫りの依頼、日数のない中での染の手配、また染の立ち合いをしてくれました。

今朝やっと、はじめての顔を合わせの機会をもてました。伊勢型紙の将来を憂いてWEBなどを使って、どうにか伊勢型紙を残せないか奔走しているお話を伺いました。全国にある型染の着物のすべて浴衣も絹のものも、伊勢型紙でできていること。お恥ずかし話ですが私は全然知りませんでした。各地方で彫られていると思っていたのです。そしてその職人さんのほとんどが70歳以上。彫る職人さんだけではなく、絶対に必要な紗張りの方もいなくなること。もう土台から、伝統工芸の世界は厳しい状況にあることを、今回もまた知りました。でも、「今ならまだ、間に合う!」それが今日二人での同意見でした。

今回のご縁を大切に、自分たちの仕事の中であと5年を10年に、20年にできたら。

新たにそんな夢をもつことのできた1日でした。

と、いうことで長吉呉服店は型染のお誂えも全面的にお受けすることにしました!

世界に一つだけの自分たちだけの浴衣、二枚からお受けいたします(お値段、日数などについては、お気軽にお問合わせください!)。

お稽古場のみなさんで、お遊びのお仲間で、ご家族・親戚・カップルで、会社の皆様で。

プリントではなく、本物の染の浴衣をいかがでしょうか。